日本画は作家・技法・保存状態によって査定額が大きく異なります。
本記事では、オークション実績に基づいた日本画の買取相場と市場価値の判断ポイントを解説します。
和紙や絹といった日本伝統の素材に、岩絵具や膠(にかわ)を用いて描かれる絵画形式。岩絵具は鉱石を粉砕して作られるため、粒子が粗くマットで落ち着いた発色が特徴です。
絵の具の定着に使われる膠は湿度や温度の影響を受けやすく、保存に高度な注意を要します。技法や素材の特殊性が、日本画を洋画や版画と一線を画す存在として位置づけています。
日本画は素材・技法・保存性の観点から独自の市場価値を持ち、国内外で根強い需要があります。とくに肉筆の日本画は、同じ図柄の版画や複製画とは異なる唯一無二の存在。
素材の繊細さゆえに良好な保存状態を保った作品は年々希少性が高まり、買取市場でも高額査定がつく傾向があります。
日本画の中でも、有名作家の作品は数百万円から数億円規模の高額取引が行われます。たとえば、SBIアートオークションでは、横山 大観の《秋風》、東山 魁夷の《明宵》がそれぞれ345万円※で落札されました。作品によっては数千万円での落札実績もあります。
高額落札は、作品の知名度、保存状態、鑑定書・共箱の有無、さらには図柄の人気度といった複数要因が重なった結果といえます。
保存状態が悪い場合や、真作を証明する手がかりが乏しい場合には、たとえ有名作家のものであっても評価が大きく下がるケースがあります。
日本画は紙や絹などの繊細な素材に描かれるため、湿気や日焼けによる劣化が査定額に直結。さらに、落款や共シールなど真作を裏づける要素がないと、無名作家や量産的な作品と同様に取引価格が低くなる傾向があります
日本画を代表する巨匠・東山魁夷は、青と緑を基調とした静謐な風景画で知られ、国内外のコレクターに根強い人気があります。特に代表作《朝の聖堂(ドイツ・リンブルク)》は、2008年のシンワオークションで1億1,200万円※という価格で落札されました。
平山郁夫はシルクロードや仏教関連の風景画で高く評価されており、大型の肉筆作品を中心に高値で取引されています。2024年のSBIアートオークションでは《パルミラの遺跡》が3,100万円※で落札されました。
加山又造は日本画に洋画的な要素を取り入れた独自の作風で知られ、とくに女性像や動物画が市場で人気です。2024年3月のシンワオークションでは《猫》が5,520万円で落札されました。
査定額にもっとも影響しやすいのは保存状態です。シミ・ヤケ・破損・修復歴などがある場合は、大幅な減額対象となることがあります。絹本や和紙に描かれた日本画は湿度や光に弱く、変色や劣化が目立ちやすいため、状態の良さが査定額に直結します。
共箱や鑑定書の有無も重要です。共箱とは、作家自筆の署名・題名が記された箱のことで、作品が真作である証拠として扱われる重要な付属物。作家の遺族や認定団体が発行する鑑定書があれば真贋への信頼性が高まり、査定額が上昇する傾向にあります。
来歴(プロヴェナンス)の明示も高評価のポイントです。過去の所有者や展覧会出品歴、図録掲載歴などが明確である作品は、市場での信用度が増し、価格が高騰しやすくなります。
日本画の査定では、「作家名」や「作品名」だけでなく、詳細な情報の提示が価格決定に大きく影響します。鑑定書・共箱・来歴・展示歴などの付属情報が揃っているほど信頼性が高まり、査定額も上がる傾向があります。
とくにオークション会社では、出品前に作品の状態写真やサイズ、技法、署名の有無などを求められるため、あらかじめ整理しておくと査定がスムーズです。
1社のみの査定結果を鵜呑みにせず、複数の買取業者やオークション会社に査定依頼を行うことが、高額売却の第一歩です。同じ作品でも業者によって評価軸や得意とする作家ジャンルが異なるため、金額に大きな差が出ることもあります。
無料査定を行っている大手業者も多く、オンラインでの仮査定から始めて、条件のよい会社に現物査定を依頼する流れが一般的です。
日本画を適正価格で売却するには、ジャンルに特化した専門業者やオークションハウスに依頼するのが賢明です。とくに大手オークション会社では、日本画専門の担当者が在籍しており、真贋確認や市場価値の査定に長けています。
また、買取ではなく委託出品(オークション)であれば、競争によって価格が上昇する可能性もあります。専門業者の選定は、最終的な売却額に大きく影響するため慎重に行うべきです。
「絵画を売る」といっても、買取業者やオークションなど方法はさまざま。本サイトでは、オークション・買取業者・ネットオークションの買取・売却方法の違いと、おすすめの3社を紹介しています。
「どの方法が自分に合っているか知りたい」という方は、ぜひご自身の状況や作品に合わせて検討してみてください。
日本画は、絵具や和紙の保存状態や、鑑定書の有無が評価に大きく影響しますが、一方で油彩画や現代アートでは、作家の人気や作品サイズ、制作年などが価格を左右する傾向があります。
ジャンルごとの特徴を知ることで、自分の作品のおおよその立ち位置がつかみやすくなるので、油彩画や水彩画、現代アートの相場もあわせて参考にしてみてください。
絵画を手放すとき、目的によって選び方はさまざまです。「手間をかけずにすぐ現金化したい」場合は買取が向いていますが、オークションを活用すれば想定より高く売れるケースも少なくありません。
ここでは、初めてでも選びやすい3つの売却方法「オークション」「買取業者」「ネットオークション」の特徴と、おすすめの会社を紹介します。


